はじめに
最近ルーターを買い替えようと調べてみると、よく見かける「Wi-Fi 6E対応」「Wi-Fi 7対応」という文字。
数字が大きい方が新しいのは分かるけれど、
「実際どこが違うの?」
「Wi-Fi 7を選ぶべき?」
と悩む人は多いと思います。
この記事では、Wi-Fiに詳しくない人でもスッと理解できるように、Wi-Fi 6EとWi-Fi 7の違いをわかりやすく解説します。
仕組みや速度の違いはもちろん、
- どっちを買えばいいか
- どんな人にどちらが向いているか
- iPhoneなど対応端末の状況
も含めて丁寧にまとめました。
Wi-Fi 6Eとは?

Wi-Fi 6Eは、従来のWi-Fi 6をさらに進化させた規格です。
「E」は“Extended(拡張)”の意味で、これまで使われていなかった新しい6GHz帯の電波を利用できるようになったのが大きな特徴です。
従来のWi-Fiは主に「2.4GHz」と「5GHz」を使用していました。
しかしこれらの帯域はすでに多くの機器で使われており、混雑しやすくなっています。
そこで新しく登場した6GHz帯は“空いている道路”のようなもので、他の電波と干渉しにくく、安定した高速通信が可能になりました。
Wi-Fi 6Eのメリットは以下の通り
- 6GHz帯の追加で、電波の混雑を回避できる
- 通信が安定しやすく、大容量データでも途切れにくい
- Wi-Fi 6対応端末でも互換性を保てる
一方でデメリットもあります
- 6GHz帯は電波が届く距離が短く、壁に弱い
- 対応するスマホやPCがまだ少ない
つまりWi-Fi 6Eは、安定重視の高速通信を実現した「完成度の高いWi-Fi 6」と考えると分かりやすいです。
Wi-Fi 7とは?

Wi-Fi 7は、2025年現在で最も新しいWi-Fi規格です。
正式名称は「IEEE 802.11be」で、次世代の超高速通信を実現するための仕組みが詰め込まれています。
Wi-Fi 7の最大の特徴は、MLO(マルチリンクオペレーション)という新技術。
簡単に言うと「複数の道路を同時に走れる」ようなものです。
これまでは2.4GHzか5GHzのどちらか片方しか使えませんでしたが、Wi-Fi 7では2.4GHz・5GHz・6GHzを同時に利用して通信できます。
その結果、混雑した帯域を避けたり、複数の電波を束ねて一気にデータを送ったりすることが可能になりました。
また、4096QAMという新しい変調方式を採用しており、一度に送れるデータ量が増えました。
理論上の最大速度は19Gbps以上と、Wi-Fi 6Eの約2倍にあたります。
Wi-Fi 7のメリットは以下の通り
- MLOにより、複数帯域を同時に使ってラグを低減
- 通信がよりスムーズで、動画やゲームでも途切れにくい
- 同時接続台数が多くても安定しやすい
- 将来の高速回線(10Gbps光回線など)にも対応可能
ただし、Wi-Fi 7にも注意点があります。
- 対応ルーターがまだ高価(3〜6万円台が中心)
- 対応端末は限られており、今後普及が進む段階
つまりWi-Fi 7は、“将来を見据えた次世代Wi-Fi”という位置づけです。
Wi-Fi 6EとWi-Fi 7の最大の違い

この2つの違いを一言で言うなら、「道を増やしたか」「道の使い方を変えたか」の違いです。
Wi-Fi 6Eは「高速道路に新しい車線を増やした」ようなものです。
2.4GHz・5GHzに加えて6GHzという新しい車線が追加され、混雑を避けてスムーズに走れるようになりました。
一方でWi-Fi 7は「複数の道路を同時に走って渋滞を回避できる」イメージです。
MLOという技術で、2.4GHzと5GHz(さらに6GHz)を同時に使い、道路が混んでいても別のルートで補うことができます。
つまり、
- Wi-Fi 6E → 「道を増やして快適に」
- Wi-Fi 7 → 「道を賢く使って効率的に」
という違いです。
Wi-Fi 6Eが「量的な拡張」なのに対し、Wi-Fi 7は「質的な進化」と言えます。
速度・安定性・端末対応の違い
速度
Wi-Fi 6Eの理論値は最大9.6Gbps。
Wi-Fi 7はその倍近い19Gbpsを超えます。
ただしこれは理論上の数字で、実際の通信速度は環境や回線の品質に左右されます。
安定性
Wi-Fi 6Eは6GHz帯を利用することで混雑を避けられる点が強み。
Wi-Fi 7はMLOで複数帯域を同時利用できるため、通信の切り替えや干渉に強く、安定性ではさらに一歩上です。
対応端末
2025年現在、Wi-Fi 6Eは多くのノートPCやAndroidスマホで対応が進んでいますが、iPhoneシリーズでは15 Pro以降がWi-Fi 6E対応にとどまっています。
Wi-Fi 7に対応しているのはiPhone 16シリーズ以降や、一部のハイエンドAndroid(Galaxy S24 Ultraなど)、最新のゲーミングPCなどです。
価格帯の違い
Wi-Fi 6Eルーター
Wi-Fi 6Eルーターは、登場から時間が経過したことで価格が下がり始めています。
NEC・バッファロー・ASUSなど各社から2〜4万円台で高性能モデルが手に入るようになりました。
Wi-Fi 7ルーター
Wi-Fi 7ルーターは発売直後のためまだ高価です。
ハイエンドモデルは5〜7万円台、中価格帯でも3万円台前後。
ただし、NECのAterm「PA-WX7200D8BE」のように、6GHzを省略して価格を抑えたモデルも登場しており、2万円台から手に入るものもあります。
2025年時点のおすすめ戦略|Wi-Fi 6Eを“今買う人”とWi-Fi 7を“待つ人”

ここまでWi-Fi 6EとWi-Fi 7の違いを見てきましたが、2025年現在で一番悩むポイントは、
- 「今すぐWi-Fi 6Eを買っていいのか」
- 「もう少し待ってWi-Fi 7にした方がいいのか」
だと思います。そこで、使う期間と予算に分けて整理してみます。
① 3年以内にまたルーターを替えるつもりなら…Wi-Fi 6Eで十分
例えば、
- 「とりあえず今の遅さと不安定さを解消したい」
- 「3年以内に引っ越しや回線乗り換えの予定がある」
- 「最新スマホを毎年買い替えるタイプではない」
といった人は、今はWi-Fi 6Eがもっともコスパの良い選択です。
- 価格:Wi-Fi 6Eは2〜4万円台で性能高めのモデルが買える
- 性能:6GHz帯で十分に高速&安定
- 対応端末:PC・Androidスマホは6E対応がかなり増えてきている
「今のストレスをなくす」「3〜4年しっかり使う」なら、無理にWi-Fi 7を待つ必要はありません。
② 5年以上は買い替えたくないなら…Wi-Fi 7を検討する価値あり
一方で、
- 「ルーターは5年〜7年は使いたい」
- 「iPhoneやハイエンドPCも順次Wi-Fi 7に替えていく予定」
- 「オンラインゲームや動画配信など、通信品質をかなり重視している」
という人は、少し予算を上げてWi-Fi 7対応ルーターを選ぶメリットが大きいです。
- 今後数年で、スマホ・PC側のWi-Fi 7対応が一気に進む
- MLOなどの新機能は「多台数接続」「低遅延」が効いてくる
- 10Gbpsクラスの光回線とも相性が良い
特に、iPhone 16シリーズ以降や最新ゲーミングPCを中心に使うなら、先を見据えてWi-Fi 7を選ぶのは十分アリです。
③ 「今は6E → 次の買い替えで7」という二段構えも現実的
予算やタイミング的に悩む場合は、
- 今:Wi-Fi 6Eで安定した環境を作る
- 3〜5年後:端末と回線の環境が整ったタイミングでWi-Fi 7へ
という二段構えのプランもおすすめです。
2025年はまだ「Wi-Fi 7の立ち上がり期」なので、今すぐ最高のスペックが必要な人だけが7を選ぶ、それ以外は6Eで十分、というのが現実的な判断と言えます。
買い替え前チェックリスト|本当にルーターを替えるべき?

最後に、そもそも本当に今ルーターを替えるべきかを確認するためのチェックリストです。
次の項目に2つ以上当てはまるなら、Wi-Fi 6E/7への買い替えを検討する価値があります。
- 5年以上前に買ったWi-Fi 5(11ac)以前のルーターを使っている
- 夜になると動画がカクカクしたり、Zoomがよく途切れる
- 家族のスマホ・PC・テレビ・ゲーム機など10台以上つないでいる
- マンションや戸建ての隅で電波が弱く、圏外になる部屋がある
- 1Gbps〜10Gbpsクラスの光回線にしている(または乗り換え予定)
逆に、
- 一人暮らしで接続台数は3〜4台程度
- ネットの用途はYouTube・SNS・Web閲覧がメイン
- 今のところ「遅い」「途切れる」と感じる場面がほぼない
といった人は、無理にハイエンドなWi-Fi 6E/7に替える必要はありません。
今のルーターが故障してから検討しても十分間に合います。
どっちを買うべき?ユーザー別シナリオ
在宅ワーク中心の人
- 毎日オンライン会議やクラウド作業をしている
- 通信が一瞬でも止まると困る
Wi-Fi 7の方が安定性が高く、会議中の音切れや映像の乱れが減ります。
ただし、費用を抑えたい場合はWi-Fi 6Eでも十分快適です。
ゲーマー
- ラグが少ない通信を求める
- FPSや格闘ゲームで遅延が命取りになる
Wi-Fi 7一択です。
MLOで低遅延化され、応答速度が非常に安定します。
家族みんなで使う家庭
- スマホ・テレビ・タブレット・IoT家電など接続台数が多い
Wi-Fi 6Eでも十分強力です。
6GHz帯を活用して混雑を回避できるため、複数人が同時に使っても快適に動作します。
一人暮らし・ライトユーザー
- 端末数が少ない
- インターネットは動画やSNS中心
コスパ重視ならWi-Fi 6Eで十分です。
2万円前後のルーターでも性能は安定しています。
よくある質問(FAQ)
- Wi-Fi 7はiPhoneで使える?
- 使えます。iPhone 16/16 Plus/16 Pro/16 Pro Max、およびiPhone 17シリーズはWi-Fi 7(802.11be)対応です。
一方でiPhone 15/15 PlusはWi-Fi 6、15 Pro/15 Pro MaxはWi-Fi 6E対応までとなっています。
なお、iPhone 16のWi-Fi 7は最大160MHz帯域で、地域によって6GHz帯の利用可否が異なります。
- Wi-Fi 6Eを今から買う意味はある?
- 十分あります。対応端末を持っていれば、現状ではもっともコスパの良い安定通信が得られます。
価格が落ち着いており、性能的にも数年は現役で使えます。
- Wi-Fi 7対応のスマホやPCは?
- ・iPhone 16シリーズ以降
・Galaxy S24 Ultra/Xiaomi 14/ASUS ROG Phone 8など
・最新のゲーミングノートPCやIntel Wi-Fi 7対応カード搭載PC
今後は2025〜2026年にかけて一気に対応機種が増える見込みです。
- 光回線が遅いとWi-Fi 7にしても意味がない?
- その通りです。ルーターを変えても回線そのものが遅ければ速度は上がりません。
まずは光回線をIPv6(IPoE)対応や10Gbpsプランに切り替える方が効果的です。
- Wi-Fi 6EとWi-Fi 7、どっちが主流になる?
- 長期的にはWi-Fi 7が主流になります。
ただし、Wi-Fi 6Eもまだまだ現役で、普及率や価格を考えると2025年現在は十分「買いの規格」です。
まとめ
Wi-Fi 6EとWi-Fi 7の違いをまとめると次の通りです。
| 項目 | Wi-Fi 6E | Wi-Fi 7 |
| 登場時期・位置づけ | Wi-Fi 6を拡張した“完成度の高い現行規格” | 次世代の“フラッグシップ規格” |
| 使用する帯域 | 2.4GHz/5GHz/6GHz(新しい6GHz帯を追加) | 2.4GHz/5GHz/6GHz(MLOで同時利用も可能) |
| 主な特徴 | ・6GHz帯で混雑を回避 ・干渉に強く安定しやすい | ・MLOで複数帯域を同時利用 ・ラグや遅延に非常に強い |
| 最大理論速度 | 約9.6Gbps | 約19Gbps以上 |
| 安定性のイメージ | 「空いている新しい車線が増えて快適」 | 「複数の道路を同時に走って渋滞を避ける」 |
| 対応端末(2025年時点) | 多くのノートPC・Android/一部iPhone(15 Pro以降) | iPhone 16以降・最新ハイエンドスマホ・一部ゲーミングPCなど |
| ルーター価格帯 | 2〜4万円台が中心でコスパ良好 | 3〜6万円台が中心(ミドル帯も出始め) |
| 向いている使い方 | ・リモートワーク/動画視聴/家族利用を快適にしたい ・コスパ重視で安定したWi-Fi環境を整えたい | ・FPSなどラグにシビアなオンラインゲーム ・10Gbpsクラスの光回線を本気で活かしたい |
| 将来性 | 今から数年は十分“買い”の規格 | 今後の主流規格として長く使える |
| こんな人におすすめ | ・価格と安定性のバランスを重視する人 ・「とりあえず今のWi-Fi環境を快適にしたい」人 | ・最新機能とゲーム性能を重視する人 ・5年〜7年は買い替えたくない人 |
結論:あなたにおすすめなのは?
- 価格と安定性を重視したい人 → Wi-Fi 6E
- 最新機能・将来性・ゲーム性能を求める人 → Wi-Fi 7
Wi-Fi 6Eは「今すぐ快適」を実現し、Wi-Fi 7は「これから先の時代」を見据えた選択です。
自分の利用環境(端末・回線・予算)を見極めて選べば、どちらを買っても後悔しません。

COCOMOYA編集部。現場経験を持つ 第二種電気工事士・2級ボイラー技士・危険物乙4(乙種第4類)・エアコンクリーニング士・調理師 の資格保有者として、家電と暮らしにまつわる「ほんとうに使える情報」だけを発信しています。
エアコンや空気清浄機などの住宅設備から、キッチン家電・季節家電まで、実際の施工・メンテナンス・調理の経験を踏まえた視点でレビュー・比較を行うのがモットーです。
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